約7年前に購入して使っていた Synology DS118 から Synology DS225+ に買い替えたので紹介。

Synology DS118 から DS225+ に買い替えた理由
Synology DS118 への OS(DSM)アップデートが終了
Synology の NAS については、OS として DSM(Synology DiskStation Manager)が採用されてて、最新は DSM 7.3(2025年10月08日リリース) となってます。ただ、この DSM 7.3 のリリースノートを見ると、私が使っている DS118 については、今回の DSM 7.3 が最後のアップデートになると記載がありました。

DS118 の他にもいろんな機種が DSM 7.3 が最後のアップデートになるようです。型番を見ると 2019年までに発売された機種なのかな?なので、6年程度はOSアップデートがあったと考えると、かなり良心的だったかなと思います。
DS118 の空き容量が少なくなってきた
約7年前に購入した際に 4TB の HDD を購入し使ってきましたが、こんな感じで空き容量として残り 7.2%(245.8GB)となって、そろそろ買い替えどきかなと考えてました。

リソースが厳しくなってきた&動作がマッタリ
ファイル共有として使う分には特に不満はなく使ってきましたが、動画ストリーミング用途に使っている「Jelleyfin」について、ソフトウェアアップデートすると Temp 領域が不足しててアプリが起動できない状態となりました。ただ、SSH 接続して Temp 領域の設定を変えれば起動してくれるんですが、アップデートするたびに設定を行う必要があって面倒になってきました。
あと、流石に7年前の HW だけあって CPU/メモリが貧弱なので、アップデート作業とかソフトウェアの設定をするときの動作がモッサリしてきたので、あまり快適ではなかったのが、買い替えるきっかけとなりました。
Synology DS225+
Synology DS225+ の使い道
これまで Synology DS118 を使っていたので、基本的には大きく使い方は変わりませんが、これまでの DS118 は1ドライブ構成だったこともあり、オリジナルデータは格納しておらず、以下の使い方をしてました。オリジナルデータは PC 内に保存してて、そのバックアップ先として使用して、家族や知り合いからのインターネットからのデータ共有や動画再生の環境として使ってました。
- PC に保存しているデータを CIFS 共有でバックアップ
- 「DS File」を使用して、家族や知り合いの iPhone/iPad などとデータ共有
- 「Jellyfin」を使用して、家族や知り合いの iPhone/iPad、テレビ(Google TV搭載)から、NAS 内にある動画のストリーミング再生
- 「Synology Photos」を使用して、スマホ(iPhone、Android)の写真のバックアップ
- 「WebDAV Server」を使用して、昔自炊した漫画を iPhone、iPad のマンガ閲覧アプリ(エアコミックス)から閲覧
- 「VPN Server」を使用して、外出先から VPN 接続を行い、自宅の環境に接続
今回の DS225+ は2ドライブ構成になるので HDD の障害には耐性が出来たので、PC のバックアップ先ではなく、NAS にオリジナルデータを格納する構成に変更します。また、これまで Jellyfin/WebDAV/VPN の外部からの利用のために、DS118 専用に無線ルータを用意して IPv4環境(PPPoE)を用意してましたが、Cloudflare Tunnel を利用することで、IPv6プラスの環境でも外部からのアクセスが出来ることがわかったので、Cloudflare Tunnel に置き換えます。
- HDD 2本で冗長化して、ディスク1本までの障害に耐える構成にする
- 「Snapshot Replication」を使用して、筐体内でバックアップを取得し、意図しないデータ削除等に備える(HW障害には耐えれない)
- 「Container Manager」を使用して、Cloudflare Tunnel とセッションを張るための「Cloudflared」を Docker コンテナで稼働させる
- 「Jellyfin」と「WebDAV」の外部からのアクセスは「Cloudflare Tunnel」経由でのアクセスに変更
- 「VPN Server」の利用は廃止して、端末に「Cloudflare One」アプリを導入して、外出先から自宅環境へのリモートアクセスには「Cloudflare Tunnel」経由でアクセスする
私はインターネット回線に So-net を使ってて IPv6プラスで接続してますが、IPv6プラスで接続していると IPv4 のグローバル IP で自由なポートを使うことが出来ずルータでのポートフォワード設定が出来ません。そのため、メインの無線ルータとは別の無線ルータを用意して、そっちのルータで IPv4 の PPPoE 接続を行うことで外部からのアクセスルートを確保してました。今回、DS225+ で Docker 版の Cloudflared を動かしてトンネル接続することで、IPv6 プラスでも外部からのアクセスが出来るようになったので、PPPoE 用の無線ルータは廃止することが出来るようになりました。
UGREEN NAS にはしなかった
ここ最近は NAS と言えば UGREEN が紹介されることが多いかなと思います。私が購入した Synology DS225+ と同一ベイ数で比較するとこんな感じです。
| 項目 | Synology DS225+ | UGREEN NASync DXP2800 |
| ドライブベイ数 | 2 | |
| CPU | Intel Celeron J4125(4コア/4スレッド) | Intel 第12世代 N100(4コア/4スレッド) |
| メモリ | 2GB DDR4(最大6GB) | 8GB DDR5(最大16GB) |
| M.2 SSDドライブ | - | 2 |
| 最大ストレージ容量 | 40TB(2x 20TB) | 76TB(2x 30TB + 2x 8TB) |
| LANポート | 1x 2.5GbE、1x 1GbE | 1x 2.5GbE |
| HDMI | - | 1(4K) |
| 実売価格(2025年11月現在) | 53,800円 | 47,277円 |
見てのとおり、HWスペックとしては UGREEN の方が圧倒的に有利だと思います。CPUについてもコア数とかは同じだけど、実際の処理性能としては倍くらい違うと思います。
ただ、なぜ UGREEN を選ばずに Synology を選んだかというと、ソフトウェアの使いやすさからとなります。単純にファイル共有だけするなら、UGREEN でいいかなと思うんですが、「Synology DS225+ の使い道」に書いた通り、色々やりたいことがあり、UGREEN NAS を調べてみると、ソフトウェアの出来はまだまだな感じだったので、ソフトウェアが使いやすい Synology を選びました。
また、DS118への OS アップデートも長い間提供してくれてた好印象もあるし、Synology は企業向け製品も提供しているのでソフトウェアの出来は今後も大丈夫かなということで選びました。直近だと使える HDD について、Synology 製しか認めないとなって一波乱ありましたが、コンシューマー向けの DS シリーズについては、2025年10月にアップデートがあり、Synology 製以外の HDD も利用出来るようになりました。
Synology DS225+ の外観
至って普通の見た目。高級感はないけど、NAS は目立たないところに置くだけなので特に問題なし。

前面の蓋を外すと HDD の取り付けが出来ます。USB 3.2 Gen1ポートに、外付けの HDD とかを増設して、バックアップ先とかにも設定出来るみたいです。

背面を見ると、1x 2.5GbE、1x 1GbE、USB 3.2 Gen1 ポートがあります。

HDD はシーゲイト 24TB x 2本
Synology DS225+ は2ベイタイプなので、今回はシーゲイトの24TB(ST24000DM001)にしました。Synology の仕様表的には最大20TB の記載があったけど、SNSを見てると動作したとの報告があったので、これにしました。2本で約10万円でした。

HDD の装着は簡単で、ネジ止めも不要です。まずはトレイを取り出して、両サイドにあるプラスチックの部品を取り外します。

で、トレイに HDD を設置します。この時に、HDDのネジ穴とプラスチックの穴が合うようにして、さっき取り外したプラスチックの部品を押し込んでハメるだけです。ただ、ちょっと力がいります。

装着するとこんな感じ。2本でも数分で完了する簡単さ。

あとは本体に差し込むだけで完了です。
DSM のインストール&セットアップ
Synology NAS は OS として、DSM が利用されているので、まずは DSM をインストールする必要があります。ただ、インストールと言っても簡単で、NAS と同じ LAN に接続している端末から「find.synology.com」にアクセスするだけで、LAN 内の Synology NAS を自動検出して、ウィザードに従うだけで簡単にインストール可能です。

DSM のインストール自体は約10分程度で完了します。完了すると以下の画面になるので基本的なセットアップを進めていきます。

管理者アカウントの設定や Synology アカウントへのログオン、QuickConnect などの設定を進めていきます。その後、ボリュームの作成画面となります。今回はディスクが2本なので、選べるのは以下の構成となってました。今回は「SHR」を選びました。

2本にチェックを入れます。

既定だと「ドライブチェックをスキップする」が選択されてましたが、初期不良なども確認しときたいので「ドライブチェックを実行」を選択して進めました。24TB の HDD だと約1.5日かかりましたがやっておいた方がいいと思います。また、ドライブチェック中でもアプリの導入や設定も平行して出来るので効率で気に進めることが出来ると思います。

ファイルシステムは「Btrfs」を選びました。

1つのボリュームで作成したので、21.8TB のボリュームになりました。

QuickConnect は必ず有効化
Synology NAS には外出先から自宅の NAS にアクセス出来る仕組みが用意されてます。それが「QuickConnect」になってます。そのため、QuickConnect は必ず設定しましょう。セットアップ時にも設定できるけど、セットアップ時にスキップした人は、「コントロールパネル」→「外部アクセス」→「QuickConnect」で「QuickConnectを有効にする」にチェックを入れ、QuickConnect ID を設定(任意の文字列)するだけです。

QucikConnect を有効にしておくと、Synology 純正のスマホアプリから簡単にアクセス(外出先からも可)することが出来ます。主な純正アプリとしては以下があります。
| アプリ名 | 説明 |
| DS finder | NAS の状態を確認したい時に利用。DSMモバイルも使えるので設定変更等も行えます。 |
| DS file | NAS 内のデータを参照する時に使えます。ファイル等もダウンロード可能。 |
| Synology Drive | NAS とデータ同期とかをしたい時に使用。使い方としては、Google Driveとかと一緒です。 |
| Synology Photos | iPhone、iPad、Android の写真のバックアップや写真の共有などが出来ます。 |
Synology DS225+ へのアプリの追加
CIFS ファイル共有だけであれば、追加のアプリは必要ないけど、私の場合はやりたいことが色々とあるので、アプリを追加していきます。Synology の場合、DSM の「パッケージセンター」から簡単にインストール出来ます。

Synology 標準アプリ
Synology 標準アプリとして、以下を追加しました。
| アプリ名 | 説明 |
| Container Manager | Dockerコンテナの管理。Cloudflare Tunnel のための「Cloudflrad」を動かすために導入 |
| Snapshot Replication | DS225+ 内でスナップショットを取得し、意図しないデータ削除に対応 |
| Synology Photos | iPhone、Androidスマホの写真のバックアップや写真の共有に利用 |
| Synology Drive Server | iPhone、PC とかとデータ同期するために利用。イメージとしては Google Drive とかと一緒 |
| WebDAV Server | 自炊したマンガの閲覧に iPhone/iPad の「エアコミックス」アプリから WebDAV でのアクセス用 |
コミュニティアプリ
Synology の場合、標準アプリとは別に、コミュニティ版のアプリを簡単にインストールすることが可能です。ただ、コミュニティ版については、Synology 側では動作確認とかしてないし内容の確認もされてないので、何でもかんでも入れていいというわけではないですが、Jellyfin を利用するために SynoCommunity(https://packages.synocommunity.com/)を追加して使ってます。
| アプリ名 | 説明 |
| Jellyfin | 家族や知り合いの iPhone/iPad、テレビ(Google TV搭載)から、NAS 内にある動画のストリーミング再生が可能。アクセス時のアカウントは Synology NAS 上に作成したアカウントは別に作成し管理が必要。 |
メモリは標準の 2GB で OK だけど、4GB 増設するともっと快適
DS225+ のメモリ容量は標準で 2GB で、仕様的に 4GB を追加できて最大 6GB までとなっています。ただ、2GB 構成でも私の使い方で色んなアプリをインストールした状態でも利用率は 49% になっているので不満なく使えてます。

ただ、空きスロットがあると埋めたくなるもので、メモリを増設することにしました。Synology DS225+ の仕様として、4GB のメモリが増設出来て合計 6GB までとなってます。ただ、SNS とかを見てると 8GB でも使えたとい情報があって、それと同じメモリを買ってみましたが残念ながら使えませんでした。。(増設して電源OnしてもOSが起動してくれませんでした)
で、Synology 純正の 4GB メモリ(D4NS01-4G)が売られてるんですが、なぜ初めからこれを買わなかったというと、めっちゃ高くて 4GB のクセに 15,300円します。。
あと、今だと DDR4 4GB メモリって新品だと売ってなくてどうしようかと思ってたけど、DDR4メモリって結構前の世代なのでオークションとかに溢れてるだろと思って見てみたら普通に売ってました。しかも、DDR4 の 4GB って約1,000円くらいで売られてます。おそらく、廃棄されるノートPCから抜き取ったやつかな? まぁ、メモリってそうそう壊れることはないので、中古でも十分かなと思います。
私が中古で購入したメモリは以下で、SAMSUNG M471A5244BB0-CRC(DDR4-2400)です。

DS225+ へのメモリ増設は簡単で、HDDトレイを取り外すと装着スロットがあるので、そこに刺すだけです。

問題なく認識し合計 6GB となりました。標準の 2GB でも十分だなと思ってましたが、6GB にしてみると明らかに動作が快適になりました。特に動画ストリーミングアプリの Jellyfin の動作がサクサクになりました。DSM の操作もキビキビするようになったので、ファイル共有以外に色々やりたい人はメモリは増設した方がいいと思います。

Cloudflare Tunnel で純正アプリ以外でも外部からアクセス
Synology 純正のアプリだと、QuickConnect 機能で外部からアクセス出来ますが、今回利用する WebDAV Server と Jellyfin については、QuickConnect を利用することが出来ないので、外部からアクセス出来るように構成する必要があります。
昔であれば、ルータにポートフォワード設定をすれば良かったですが、最近の固定回線は「IPv6プラス」での接続になってて、ルータでのポートフォワードが利用できない環境が多いです。私が使っている So-net も利用出来ないです。そこで色々と調べていると、Cloudflare が提供している「Cloudflare Tunnel」を使用すれば無料で外部からのアクセス環境を構築出来ることがわかりました。
「Cloudflare Tunnel」の仕組みとしては、以下の Cloudflare のドキュメントにある通り、自宅内で「Cloudflared」を実行し、「Cloudflared」から Cloudflare に対してトンネル接続を行い、そのトンネルを利用し、外部から自宅内のサーバにアクセスさせることが出来ます。これを利用することで IPv6プラス環境でルータにポートフォワードが設定出来なくても、自宅内のサーバに外部からアクセスさせることが可能です。

この「Cloudflared」については、以下の環境にインストールすることが可能です。

DS225+ では、標準パッケージから Docker 管理の「Container Manager」をインストールすることで簡単に Docker を実行することが可能です。「Container Manager」をインストール後、「レジストリ」から「cloudflare」と検索して出てくる「cloudflare/cloudflared」を選択してインストールするだけです。

コンテナのインストール時に、NAS の起動時に自動的に起動するように「自動再起動を有効にする」にチェックを入れておきましょう。

設定で行うのは、以下の2個所だけです。
- ネットワーク: host
- コマンド : (Cloudflare 管理コンソールの「Zero Trust」→「ネットワーク」→「Tunnel」→「(作成したトンネル名)」→「Docker」を選択し表示されるコマンドの tunnel~以降の文字列を貼り付ける)

Dockerコンテナだけあって、リソースの使用率も低くていいですね。メモリ使用量も約28MB みたいです。

この「Cloudflare Tunnel」の機能を使用し、外部から NAS 上で稼働している WebDAV と Jellyfin にアクセスさせることが可能です。「Cloudflare Tunnel」自体は無料で利用することが可能ですが、この機能を使うためには独自ドメインを持っている必要があるので、そこは準備しましょう。私はこのブログでも利用している「さくらのドメイン」でドメインを取得しているものを利用しました。
あと、この「Cloudflare Tunnel」の機能の中で、端末に「Cloudflare One」というアプリを入れることで VPN Server が不要で自宅のNWにアクセスすることが可能です。利用するためには、Cloudflare の Zero Trust の設定画面で以下の設定を行う必要があります。
- 「Zero Trust」→「設定」→「WARPクライアント」→「デバイスの設定」→「プロファイル」に新規のプロファイルを作成し、接続してもいい条件を設定する。私の場合は、メールアドレス認証に設定しました。また、「スプリットトンネル」の設定で「IPとドメインを含める」で自宅のNWアドレスを登録しました。
- 「Zero Trust」→「ネットワーク」→「ルート」の「CIDR」に自宅のNWアドレスを登録
あとは、端末に「Cloudflare One」アプリを入れて、接続するだめで接続が確立出来ます。
最後に
Synology の NAS は、ソフトウェア部分の使い勝手がいいので、NAS を使って色々とやりたい人は、有効な選択肢の一つだと思います。今回の構成では合計で約16万円程度かかったけど、また 7~8年程度使うことができれば、年間2万円ちょっとになるのでコスパはいいかなと思います。
私は 24TB の HDD を選んだので 16万円程度かかったけど、8TB HDD であれば合計約10万円程度となるので、導入のハードルは低いかなと思います。



