自宅の無線 LAN ルーターを無線LANの最新規格となる Wi-Fi 6 に対応した NEC Aterm WX3000HP(PA-WX3000HP)に買い替えたので紹介。
Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)って?
無線LAN には通信規格があって Wi-Fi 6 は無線LAN規格の 6世代目 ってこと。
無線LAN通信規格の比較
無線LANの規格は約5年おきくらいに新規格が登場してます。
項目 | Wi-Fi 4 | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 |
リリース | 2009年 | 2013年 | 2020年 |
Wi-Fi 規格名 | IEEE 802.11n | IEEE 802.11ac | IEEE 802.11ax |
最大通信規格(理論値) | 600 Mbps | 6.9 Gbps | 9.6 Gbps |
周波数 | 2.4GHz帯 / 5GHz帯 | 5GHz帯 | 2.4GHz帯 / 5GHz帯 |
2013年に登場した Wi-Fi 5(802.11ac)が高速無線LAN のスタンダードだったけど、規格値として 約1.4倍高速化 しました。ただ、あくまでも規格としての理論値なので、そもそも無線LANルーターに搭載されているアンテナの性能などで実際の通信速度はバラバラです。
Wi-Fi 6 のメリット(複数機器の同時接続・省エネ)
OFDMA (直交周波数分割多元接続)という技術で複数の機器を同時に接続しても速度低下を起こさないようにしているみたいです。最近は1人でも複数台の機器を使うことも多かったり家電も無線LAN への接続が行われるようになるので効果はありそう。
あと重要なメリットが省電力というところ。Wi-Fi 6 には TWT という技術が採用されてて、無線LANルーターから端末への通信のタイミングを調整して端末側の消費電力を抑えることが可能になったようです。
ただ、この恩恵を受けるためには端末側が TWT に対応している必要があるみたいです。
Wi-Fi 6 対応無線LAN を活かせる代表的な端末
無線LANルーターが Wi-Fi 6 に対応してても、使う端末が Wi-Fi 6 に対応してないと活かすことは出来ません。
Wi-Fi 6 が 2019年にドラフト版が出たことを考えると分かるけど、2019年以降に発売された一部のハイエンド機などが Wi-Fi 6 に対応してます。具体的には iPhone 11 とか私も使ってる Galaxy Note10+ などが対応してます。
なので 2019年以降に出たからと言って、全ての機器が対応しているわけではないです。
NEC PA-WX3000HP について
Wi-Fi 6 対応上位機種および Wi-Fi 5 対応上位機種との比較
NEC からは Wi-Fi 6 に対応した無線LAN ルータは 2 機種発売されてて、上位機種は前から販売されてたけど、今回購入した機種は今日(2020年5月14日)が発売日の安い方です。
比較として Wi-Fi 6 に対応した 2 機種とこれまでの Wi-Fi 5 に対応した最上位機種(PA-WG2600HP3)を比較してみました。
項目 | PA-WX6000HP | PA-WX3000HP | PA-WG2600HP3 |
無線LAN規格 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 | |
ストリーム数・アンテナ数 | 8ストリーム 送信8 x 受信8(5GHz) 4ストリーム 送信4x受信4(2.4GHz) | 2ストリーム 送信2x受信2(5Ghz/2.4GHz) | 4ストリーム 送信4x受信4(5GHz2.4GHz) |
接続台数 / 利用人数 | 36台 / 12人 | 36台 / 12人 | 18台 / 6人 |
間取り | 戸建(~3階) マンション(~4LDK) | 戸建(~3階) マンション(~4LDK) | 戸建(~3階) マンション(~4LDK) |
規格値 5GHz帯 | 11ax(4804 Mbps) 11ac(3467 Mbps) 11n(800 Mbps) 11a(54 Mbps) | 11ax(2402 Mbps) 11ac(1733 Mbps) 11n(400 Mbps) 11a(11 Mbps) | 11ac(1733 Mbps) 11n(800 Mbps) 11a(54 Mbps) |
規格値 2.4GHz帯 | 11ax(1147 Mbps) 11n(800 Mbps) 11g(54 Mbps) 11b(11 Mbps) | 11ax(574 Mbps) 11n(400 Mbps) 11g(11 Mbps) 11b(11 Mbps) | 11n(800 Mbps) 11g(54 Mbps) 11b(11 Mbps) |
NECが公開している 実測値 | 約 4040 Mbps | 約 1580 Mbps | 約 1430 Mbps |
OFDMA | ◎ | - | |
TWT | ◎ | - | |
WPA3 | ◎ | - | |
実売価格(2020/05) | 約 35,000 円 | 約 22,000 円 | 約 12,000 円 |
同時接続は 36台 までは行けるので、日本の一般家庭であれば余裕だし、小さい会社からこれで十分なんじゃないかな?
外観
付属品はシンプルで、スタンド/ACアダプタ/LANケーブル。
搭載ポートは WAN x 1、LAN(1Gbps)x 4 だけ。
上部は排気用なのかメッシュ構造。ただファンはついてないです。
NEC のロゴもシンプル。
CPU は Intel 製みたいです。
スタンドを付けるとこんな感じ。
工場出荷時のファームウェアでは、ルータモードのみに対応で、中継機モードおよび子機モードは今後のバージョンアップで対応予定とのこと。
初期セットアップ
無線LANルータに利用しているプロバイダの接続情報を入力する必要があるので、以下の手順で実施しました。
有線LAN で接続しているパソコンがある場合には、以下の手順はスキップ出来ますが、無線接続の機器しかない場合には、まずには無線LAN に接続する必要があります。
無線LAN ルータの SSID とパスワードは機器の背面に記載があるので、その情報を元に接続します。
接続後は 192.168.10.0/24 のネットワークに繋がるので無線ルータの IPアドレスとなる 192.168.10.1 にブラウザから接続し、ユーザー名(admin)、パスワード(機器の背面に記載)を入力してログインします。
「接続先の設定」をクリック。
プロバイダから提供されている接続ユーザー名とパスワードを入力して「設定」をクリック。
「OK」をクリック。
30秒くらいすると接続状態が利用可能のステータスに変わるので、インターネットへの接続は完了です。(私の環境はプロバイダのIPv6サービス申し込んでないので IPv6 は未接続のままです)
ファームウェアアップデート
工場出荷時のバージョンは 1.0.1 だったので早速アップデート。ホーム画面で「メンテナンス」→「ファームウェア更新」をクリック。
「更新」をクリック。
「OK」をクリック。
ファームウェアが更新されるので待って、再起動が完了したら完了です。
ファームアップ後は 1.1.2 でした。
通信速度実測
通信速度の実測をしようと思ったけど、環境的に効果ありそうな構成を作ることが出来そうにないので、良い構成を思いついたら追記します。。
まずは手持ちの機器でリンクスピードが分かる機器だけ情報を載せておきます。なお、NEC の無線ルータのデフォルトの SSID 名は末尾が「-a」が 5GHz帯で「-g」が 2.5GHz帯を利用しているアクセスポイントです。
Galaxy Note10+(Wi-Fi 6対応機器)
Galaxy Note10+ は Wi-Fi 6 に正式対応している機器です。Wi-Fi 設定画面のアイコンにも 6 の数字が付いてました。
リンクスピードは 1.2 Gbps!!!
Galaxy Note8(W-Fi 5 対応機器)
2017年に発売された機種なので Wi-Fi 5 に対応している機器では 866 Mbps
MacBook Pro 13インチ 2016(Wi-Fi 5 対応機器)
2016年に発売された機種なので当然 Wi-Fi 6 には対応してなくて Wi-Fi 5 対応機器です。
まずは 5GHz帯への接続時は 867Mbps
2.5GHz帯への接続は 145 Mbps
IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) 対応について
IPv6 について
Wi-Fi 6 は家庭内で使う端末と無線LANルーター間の次世代規格だけど、無線LANルーターからインターネットに接続する部分の次世代規格が IPv6 です。といっても、IPv6 の登場自体ははるか昔だけど、最近やっと利用が増えて来てると思います。
これまでの IPv4 では PPPoE が使われていたけど IPv6 の IPoE を利用することにより、混雑している時間帯でも快適な通信が出来るようになります。
IPv6 についてはプロバイダによってはサービス名として v6プラスとして提供されてて、以下のサイトで情報が纏められているので確認してください。
https://www.jpne.co.jp/service/v6plus/
Wi-Fi 6 に対応してても IPv6 に対応してない無線LANルーターもある
無線LANルーターとして Wi-Fi 6 への対応と合わせて、購入時に注意しておきたいのが IPv6 への対応についてです。インターネットへの接続については、今後は IPv6 への対応も意識しておく必要があります。
Wi-Fi 6 に対応した最安の無線LANルータとしては TP-Link の AX1500 があります。
価格的に1万円を切っているので導入障壁は小さいですが、上記の無線LANルーターは IPv6 に対応していないため、IPv6 サービスを使いたいとなった時に再購入しないと行けないため注意が必要です。
今回の購入をきっかけに IPv6 プラスサービスに申し込み
プロバイダは So-net を使ってて、昔から何も変更してなかったので PPPoE 接続を利用してたんだけど、ルータが IPv6 に対応したので v6プラス に切り替えて見ました。
So-net の v6 プラスの解説ページでもこんな感じで混雑時の通信速度の改善も案内されてました。
申込みは簡単で So-net のマイページから v6プラスの申請をするだけで、翌日の 0 時から使えるようになってました。プロバイダ側で使えるようになったら、無線LANルータ側でも v6プラスが使えるように変更します。
「基本設定」→「装置名/動作モード」→「動作モード」から「v6プラス」を選択するだけです。
設定変更後、v6プラスが利用出来るかのテストが実行されます。
利用出来ることが確認出来たら、以下のように接続状態となり設定完了です。
VDSL 回線でも IPv6 の恩恵あり
私のマンションは VDSL 回線(マンションの根元までは光ケーブルだけど、各部屋へは電話回線を使った方式)が利用されてて論理的な最大通信速度は 100Mbps と今どきとしては遅いスピードです。
この環境で v6プラスを利用して効果はあるのかなと疑問だったけど計測した結果、改善が見られました。
IPv4 接続(PPPoE)の場合
IPv6 接続(IPoE)の場合
最近の自宅待機期間になってから、21時前後の混雑時間帯の酷い時は 10Mbps 台になることもあったけど、v6プラスに変えてからは、常に 70Mbps 台は出て安定してます。
今回のルーターの購入に関しては、私の環境では Wi-Fi 6 の恩恵より IPv6 への対応が偉大 でした!
最後に
とりあえず Wi-Fi 6 はこれからのスタンダードになる規格なので、無線LANルータの購入を計画してる人は、とりあえず Wi-Fi 6 + IPv6 対応機器を検討しておきましょう。
Wi-Fi 6 対応機器はまだ高いけど、Wi-Fi 5 + IPv6 対応の無線LANルーターであれば安価なので、インターネット回線のスピードに困ってる人は、こっちの選択肢もありかも?
W-Fi 6 + IPv6 機器だと2万円くらいするけど、Wi-Fi 5 + IPv6 であれば1万円もしないくらいです。
Wi-Fi 5(4ストリーム、実効スループット 約 1048 Mbps)
Wi-Fi 5(3ストリーム、実効スループット 約 842 Mbps)
Wi-Fi 5(2ストリーム、実効スループット 約 612 Mbps)