以前から気になっていた「平面磁界駆動」を採用したヘッドフォンの「Edifier STAX SPIRIT S3」が、Amazon ブラックフライデー(2022年11月25日~12月1日)で安くなってて、購入して1ヶ月程度使って凄く良かったので紹介します。
実は、この前紹介した有線イヤホンの「LETSHUOER S12 Pro」を購入したきっかけが、この「Edifier STAX SPIRIT S3」を購入して音がすごく良くて平面駆動に興味が出たからというのがありました。
平面磁気駆動ドライバーを採用した「LETSHUOER S12」というイヤホンが凄くいいと評判を見てたんだけど、有線イヤホンの利用頻度的に購入の優先度を下げてたので購入はしてなかったんだけど、最近有線イヤホン熱が上がってきて買おうと思ったら「[…]
Edifier STAX SPIRIT S3
平面磁界駆動型ヘッドフォン
通常のヘッドフォンではダイナミック型という方式が採用されてますが、このヘッドフォンの一番の特徴が「平面磁界駆動型」という駆動方式を採用していることです。この方式を採用することで歪みが少ない音の再現性が音を再生することが出来るみたいです。
Edifier STAX SPIRIT S3 の外観
箱の質感はもう一歩かな。Snapdragon Sound に対応している証があるのがいいね。
箱を開けると、ケースと交換用のイヤーパットが入ってました。
ケースを開けるとヘッドフォン本体と以下の付属品が入ってました。折り畳めると言っても、それなりのケースの大きさにはなるから、気軽に持ち運びというレベルではないかな?
- 3.5mm ステレオミニプラグケーブル
- 3.5mm to 6.35mm 変換アダプター
- 専用充電USB-Cケーブル
- イヤーパッドピック
ハウジング部分はカーボン調。
イヤーパッドはラムスキン製で柔らかくていい感じ。
ヘッドバンド部分はイヤーパッドと同じような素材で柔らかいです。
左側には充電用の USB Type-C 端子があり、右側には物理ボタンと 3.5mmジャックがついてます。
対応している Bluetooth コーディック
ワイヤレスヘッドフォンで重要となる Bluetooth コーディックについてですが、以下のコーディックに対応してます。特筆すべきなのが aptx Adaptive の 24bit/96kHz まで対応しているところだと思います。これまで aptx Adaptive 対応といえば 24bit/48kHz までの対応でしたが一歩進んだようです。
- SBC
- aptx
- aptx HD
- aptx Adaptive(24bit/96kHz)
- Snapdragon Sound
下に行くほど高音質になり、ハイレゾ音源を転送出来るのは aptx HD/aptx Adaptive/Snapdragon Sound になります。iPhone とか iPad の iOS 系では SBC か AAC のみの対応なので、このヘッドフォンを使うと Bluetooth 接続で最低限の音質となる SBC での接続になり、仕様上はハイレゾ音源を再生することは出来ません。
Android 系のスマホについては、端末毎に対応しているコーディックが異なるので端末の仕様を確認する必要があります。私が使っている Galaxy Note10+ については以下のコーディックに対応しているので、今回は「aptx」接続での確認がメインとなります。音質としては AAC と同程度でハイレゾ音源は伝送出来ません。
- SBC
- AAC
- aptx
- LDAC
ヘッドフォンで Snapdragon Sound に対応しているはかなり珍しいので、Snapdragon Sound での接続を試して見たいところだけど、現状では一部の Android 端末(ハイエンド系)が対応しているだけになってます。Snapdragon Sound に対応しているスマホについては Qualcomm のサイトで公開されてます。
私は Galaxy 派だけど Galaxy は最新機種でも対応してないんだよなー。Galaxy 以外で Snapdragon Sound に対応してて欲しいなと思う端末は SONY Xperia 1 Ⅳ, Xperia 5 Ⅳ がいいなとは思うけどどっちも15万円オーバーなのでこの為に買い替えるわけにはいかないな。。
Edifier STAX SPIRIT S3 の気に入っているところ
ワイヤレスヘッドフォンとは思えない高音質
このヘッドフォンの一番の価値となるのがこの部分で、純粋に音が素晴らしいです。特に中高音の透明感が凄くいい。弦楽器とかピアノの表現が良すぎる! 「平面磁界駆動」の特性なのが音に歪みを感じず透き通った音がいいです。あとは女性ボーカルとかも凄くいい感じに鳴ってくれるので無駄に音楽を聞きたくなる音質です。
有名なオーディオ系 Youtuber の人たちも以下の動画で絶賛してますが、私も同じ意見です。
ただ、新品状態だと本領を発揮できてない気がして、最低でも20~30時間程度はエージングが必要だと思います。到着して直ぐに聞いた時は「なんだこのクソ音質は!?」って思っちゃいました笑 低音はスカスカだし中高音も帯域が狭い感じで10,000円くらいのヘッドフォンかなと思ったくらいです。。
ただ、20~30時間程度経過後から、おぉーいい音と思うようになってまったく不満のない音で鳴ってくれるようになりました。
装着感が良い
Edifier STAX SPIRIT S3 には2種類のイヤーパッドが付属されてます。
- レザーイヤーパッド
- クーリングメッシュイヤーパッド
私的に好みなのが夏用となっている「クーリングメッシュイヤーパッド」です。付けた時はちょっとヒンヤリしてるし長時間つけてても不快感がないので、私は1年中使いたいなと思いました。付け替えについても4箇所がピンどめされているだけなので付属されているピックを4箇所に差し込んで浮かせるだけで取り外すことが可能です。
イヤーパッドを取り外すとドライバが見えます。横に置いてるのは「クーリングメッシュイヤーパッド」です。
取り付けるとこんな感じ。長時間つけてても不快感が少なくていい感じです。
バッテリー持ちがエグい
スペック的に連続再生時間は 80 時間になっていますが、実際に使ってみてもスペック通りの駆動時間だと感じます。
というのも、1ヶ月前に購入してから一度も充電してないけど、未だに十分使えてます。仮に1日2時間使ったとしても1ヶ月程度は無充電で使えることになるのでスペック通りですね。
また、充電については USB Type-C 端子なので汎用性も高くて使い勝手がいいです。なお充電時間は約1.5時間です。
Edifier STAX SPIRIT S3 のイマイチだなと持ったところ
作りが価格に見合ってない
現時点(2023年1月)の実売価格は約4.5万円のヘッドホンとなりますが、質感についてはあまり高級感もなく、ボタンのクリック感とかもかなり安っぽいです。感覚的には1万円くらいのヘッドホンくらいの感覚です。
ただ、このあたりはどうでもいいかなと思ってしまうくらい音質がいいです。
ノイズキャンセリングが付いてない
音質に全振りとなっている所以の一つに、ノイズキャンセリングが付いていないということがあります。
最近の高級ワイヤレスヘッドホン(SONY WH-1000XM5 や ゼンハイザー MOMENTUM 4 Wireless)では、ノイズキャンセリングが付いているのが当たり前になっていますが、この Edifier STAX SPIRIT S3 には付いてません。
一般的にはノイズキャンセルを行うと音質が落ちると言われているので、音質に拘っている Edifier STAX SPIRIT S3 についていないことは問題ないですが、比較検討をしている人にはこの点は大きい点かなと思います。そのため、外出時に雑音が大きい場所で使う人は向いてないかもしれません。
電源の On/Off がちょっとだけ面倒
電源を On/Off する時はボタンの長押し(仕様的には3秒間)なんだけど、思ったよりも長押ししとないと動作しません。個人的には半分くらいの時間にして欲しいです。
aptx Adaptive 接続で本領発揮!?
このワイヤレスヘッドフォンの最高音質で聴こうとすると aptx Adaptive の 24bit/96kHz での接続になりますが、私が持っているスマホ(Galaxy Note10+)では対応してなくて試すことが出来てませんでした。
ただ、ここまで音がいいヘッドフォンだと最高音質で接続して試してみたいという気持ちが大きくなって、USB Type-C 接続で aptx Adaptive 接続が行える以下の2つのアダプターを購入してみました。
- ゼンハイザー BTD600
- Nura Bluetooth 5.3 Audio Transmitter
色々と聴き比べを行っているので、2つを試した感想は別のエントリーで詳細に書きたいと思います(別のエントリーで書き次第、ここにもリンクを張ります)。結論だけ先に書くと、やっぱり aptx Adaptive の 24bit/96kHz で接続すると音質は向上します。なお、BTD600 は24bit/96kHz に対応してないので、購入するなら 24bit/96kHz に対応している「Nura Bluetooth 5.3 Audio Transmitter」がオススメです。
高音質ワイヤレスイヤホンと比べる音質はどうなの?
ここからは外出時に使っているワイヤレスイヤホンと音質を比べて見たいと思います。
比較するワイヤレスイヤホン
ワイヤレスイヤホンとしては、以下の4つ(1つはBluetoothレシーバー+有線イヤホン)を使ってます。
- NUARL NEXT 1(実売価格 29,700円)
- SONY WF-1000XM4(実売価格 約25,000円、発売時 約34,000円)
- Bowers & Wilkins PI7(実売価格 約26,000円、発売時 約41,000円)
- iFi audio Go Blu + LETSHUOER S12 Pro(実売価格 約50,000円)
NUARL NEXT 1 は以下のエントリーで書いてます。
久々に欲しいと思った完全ワイヤレスイヤホンがあって購入したので紹介します。NUARL NEXT 1今回購入したのは NUARL(国産メーカー) から2022年12月に発売された「NEXT 1」という完全ワイヤレスイヤホンです[…]
SONY と B&W のイヤホンの比較については、以下のエントリーで書いてます。
この前購入した B&W PI7 は音質は凄く良かったんだけど、電車内で使うにはノイズキャンセル機能が物足りなくて SONY WF-1000XM4 を追加購入したので主に B&W PI7 との違いとの部分にフォーカスしてレビュ[…]
iFi audio Go Blu と LETSHUOER S12 Pro の組み合わせは以下に書いてます。
外出先で有線イヤホンで高音質で音楽を聴きたいと思うようになり iFi audio の「Go Blu」を購入してみたので紹介します。iFi audio Go BluiFi audio Go Blu の開封外箱はいつもの iFi a[…]
Edifier STAX SPIRIT S3 の圧勝
これは比べるレベルじゃないくらい Edifier STAX SPIRIT S3 が圧勝してます。中高音の透明感がレベチだし、低音域の質もレベルが違う。
高音質 有線ヘッドフォンと比べると音質はどうなの?
比較する有線ヘッドフォン
私は自宅で大きな音で聞きたい時は有線ヘッドフォンとして、以下の2つを使用しています。
- SHURE SRH1540(実売価格 約60,000円)
- オーディオテクニカ ATH-AD2000X(実売価格 約50,000円)
SHURE SRH1540 のヘッドホンを 4.4mmバランス接続にリケーブルしたので紹介。SHURE SRH1540 用のリケーブルは選択肢が少ないSHURE SRH1540 に標準で付属しているのは通常の 3.5mm シングルエ[…]
オーディオテクニカのオープンエアーダイナミック型ヘッドホンの ATH-AD2000X を購入したので紹介。これまで利用していたヘッドホンについてこれまで 10 年以上も使っていたのは同じオーディオテクニカから出ているオープンエアーダ[…]
ヘッドフォンの駆動については、以下で紹介した iFi audio の Zen Signature Set(購入時約55,000円)を使ってます。
2021/4/20 発売の Zen Signature Set が届いたので開封とファーストインプレッション(1日間使用した状態)をします。Zen Signature Set についてZen Signature Set は3つの製品[…]
有線ヘッドフォンの勝ち
さすがにこのクラスのヘッドフォンと駆動力も高い iFi audio Zen Signature Set との組合せだと、有線ヘッドフォンの方が音質が良かったです。具体的には有線ヘッドフォンの方が力強さというか表現力が上ですね。聴き比べなかったら Edifier STAX SPIRIT S3 の音で不満は出ることは無いと思うけど、聴き比べちゃうとハッキリと違う。
この差は、Bluetooth 接続の限界かなとも思うし、有線ヘッドフォンを駆動している iFi audio Zen Signature Set の力もあるかな?
Amazon Music 排他モード + Zen Signature Set + Edifier STAX SPIRIT S3 有線接続で更に音質向上!
有線ヘッドフォンとの聴き比べの時に、Edifier STAX SPIRIT S3 って3.5mm ステレオジャックで有線接続も出来るんだよなと思い出して、有線接続を試すことにしました。
で、私は PC 環境では Amazon Music のアプリを使ってるんですが、この Amazon Music アプリには「排他モード」と呼ばれる機能が搭載されています。Windows の場合、通常であれば Windows 上で動いているシステム音やいろんなアプリの音を出すために、出力前に色んな音を纏める処理(ミキサー)が入って出力されることになるので、この処理で音質が劣化するとされています。
「排他モード」を使うことで、Windows のミキサー処理をスキップして、オーディオデバイスに直接信号を出すことが出来て劣化のない音質を楽しむことが出来ます。その代わり、Windows が処理を挟まいので排他モードに設定したデバイスについては Amazon Music 以外のアプリの音を出すことも出来ないし、Amazon Music や Windows からも音量調整が出来ずに、デバイス側で音量を調整する必要があります。
Amazon Music アプリでの排他モードの設定
PC 版の Amazon Music では右下のスピーカーマークをクリックすることで PC に繋がっているオーディオデバイスを選択し、出力先を変更することが出来ますが、排他モードで利用したいデバイスを選択後に「排他モード」を「有効」にします。この画面は、まだ排他モードを選択する前ですが、私の環境では色んなオーディオデバイスが接続されているので色々見えてますが、通常は1~2個だと思います。
今回利用する「Zen Signature Set」となる「スピーカー (IFi (By AMR) HD USB Audio)」を選択して「排他モードを有効」にします。こうすることで音量調整もグレーアウトされ操作出来なくなったことが確認出来ます。
注意が必要なのが、排他モードで出力するとオーディオデバイスには最大音量で出力されているので、再生を行う際は、オーディオデバイス側は音量を絞っていて徐々に音量を上げて調整する必要があります。
音質向上を体感!
試してみて感じたのが Bluetooth で接続するよりも音質が向上することが確認できました。ただ、SRH1540 と ATH-AD2000X の音質にはもう一歩届いてないですね。あと、Edifier STAX SPIRIT S3 の一番の利点はワイヤレス接続で音がいいというところなので、わざわざ有線で接続する必要はないかなと思います。
あと、Edifier STAX SPIRIT S3 で有線接続する時はヘッドフォン本体の電源を入れる必要があるので、ヘッドフォンを駆動させるためのアンプは有線接続でも無線接続でも一緒な気がします。
平面磁界駆動が流行り?
同じ「平面磁界駆動」を採用したヘッドフォンが AVIOT から WA-Z1PNK として発売されています。実は Edifier STAX SPIRIT S3 の購入を決めた理由もこのヘッドフォンの情報を見てからでした。どちらを選ぶかの判断基準としては私としては価格になりました。AVIOT のヘッドフォンの価格としては約88,000円と Edifier STAX SPIRIT S3 の倍くらいの価格がします。
流石にワイヤレスヘッドフォンに9万円近いお金を出すのは厳しいなと思いました。その他の違いとしては、対応している Bluetooth コーディックと連続再生時間も大きく異なっています。
比較項目 | Edifier STAX SPIRIT S3 | AVIOT WA-Z1PNK |
実売価格(2023年1月時点) | 約45,000円 | 約79,200円 |
Bluetooth コーディック | SBC aptx aptx HD aptx Adaptive | SBC AAC LDAC |
連続再生時間 | 約 80 時間 | 約 20 時間 |
マルチデバイス | 対応(台数不明) | 8 デバイス |
マルチポイント | 2 デバイス | 2 デバイス |
重量 | 約 329 g | 未公開 |
Bluetooth コーディックの違いが大きくて、一般的な環境だと AVIOT の方が対応しているデバイスは多いと思います。iOS 系だと SCB か AAC しか使えないので少しでも音質がいい AAC で接続出来るところがいいと思います。
あと Android 系端末だと最近の端末であれば aptx Adaptive よりも LDAC に対応している端末の方が多い(Galaxy も LDAC に対応)と思うのでハイレゾ音源を聞くためには汎用性は高いと思います。
最後に
Edifier STAX SPIRIT S3 はワイヤレスヘッドフォンとしては間違いなく最高峰の音質だと思うので、ワイヤレスで音質に拘りたいと思う人は購入の第一候補にしていいと思います。これまでワイヤレスイヤホンしか体験したことない人にとっては別次元の音だと思うので、ぜひ体験してみてください。