一つ前の以下のエントリーで紹介した姪向けのゲーミングPCを作ったので、詳細な構成について紹介します。デバイスやモニターについては以下のエントリーで確認してください。今回紹介するのはPC本体の機器選定理由とバックアップ構成のやり方です。
兄から相談があり、娘の高校入学祝で「ゲーミングPC」が欲しいって言ってるみたいなんだけど、何もわからないから購入相談に乗ってということで、久々に PC構成とかを調べたりして、自分なりに最適な構成を検討出来たので、これからゲーミングPCを購入[…]
ゲーミングPCの機器選定
ゲーミングPC本体だけで予算20万円を目標に構成を行いました。最終的にはゲーミング用途とは別にデータ(動画や写真)の保管なども考えて、しっかりとしたバックアップ構成を行ったので約23万円の構成になりました。
実際に選んだ部品は以下となります。
CPU は Intel Core i5-13400F
CPU の選択肢として Intel と AMD があるけど、今回は Intel から選びました。今回の用途としてはゲームなのでゲームなら Intel でしょという安易(最近は AMD を選ぶ人も増えては来たけど)な考えと Intel の方が USB 接続とかが安定しているイメージがあるので Intel にしました。Intel の中でも色々とラインナップがあるけど、全体のコストの割合と GPU とのバランス的に問題がない「Intel Core i5-13400F」にしました。型番で分かる通り最後に F が付いているので、グラフィック機能が入っていない CPU になります。
「Core i5-13400F」は最新の第13世代の CPU になってて、ソケットは「LGA1700」になります。コア数としては 10 コアだけど、以下の割合です。
- Pコア(Performance-cores): 6 Core
- Eコア(Efficient-cores): 4 Core
「Core i5-13400F」はリテールクーラーが同梱されています。昔のリテールクーラーに比べると大分おしゃれになってますね。CPU 負荷を長時間かけなければ、リテールクーラーでも十分な気もします。
リテールクーラーでもいいかなとは思ったんだけど、以下の動画を見ると、そこそこ熱は持ちそうなんので、夏場とかでも安定してゲームが出来るようにCPU クーラーも別途購入することにしました。
CPU クーラーとしてはサイコムの BTO でも採用されてた「Noctua NH-U12S redux」というやつにしました。ファンの色が独特な感じ。Noctua にしては低価格でした。それでも他のメーカーに比べるとちょっとお高めかも?
メモリは 16GB
基本的にはゲームしかしないので 16GB にしました。姪に聞いても LED で光るのは嫌ということで地味なやつなら何でもいいかなと言うことで、CFD にしました。他のメモリは基盤が緑だったけど、これは黒だったので全体を黒に纏められるかなと思って、これにしました。
マザーボードは ASUS TUF GAMING B760-PLUS WIFI D4
個人的にマザーボードは昔から ASUS を使っているので、ASUS の中で無線LAN/Bluetooth が付いているものを選びました。というのも姪のパソコン設置環境的に有線LANを引くのが難しいということで、ここは必須の要件でした。Bluetooth も今すぐに使わなくても付いておいたほうがいいと思う。
電源部分のヒートシンクもしっかりとしてるし安心して使えそうでいい感じ。無線のアンテナはバックパネルに接続する必要があります。
ASUS の良いところは、他のメーカーにも似たようなツールはあるけど「Armoury Crate」というツールが提供されてて、そのマザボに必要となるドライバとかを自動検出して一括して入れる機能が便利です。OS を入れたあとに「Armoury Crate」を導入しちゃえば、最新のドライバ類を纏めて入れてくれるのでお手軽です。
また、同じツールでファンの制御や LED の制御も出来ます。
GPU は GeForce RTX 3060 Ti 8GB
GPU はゲーム性能に直結するので、予算が許す限り出来るだけ良いやつを買う方がいいですが、今回は全体のコストを考慮して「RTX3060Ti」を搭載した「ASUS DUAL-RTX3060TI-O8GD6X」にしました。他のメーカーにすると同じ RTX3060Ti でも、もう少し安く購入出来たけど、気持ち的にマザーボードと合わせようかなと思って ASUS にしました。
ASUS は GPU の制御ツールとして「GPU Tweak III」が提供されててファンの制御だったりオーバークロックだったりが出来ます。また、ゲーム中にオーバーレイで CPU や GPU の使用率、温度などを表示出来る機能もあります。
システムドライブは高速タイプの SSD 1TB
システムドライブとしては定番となる、M.2 2280 接続の NVMe タイプの SSD にしました。今回は Crucial 製にしたけど、Crucial 製の M.2 2280 接続タイプだと以下の4タイプがありますが、今回は一番高速な P5 Plus シリーズの 1TB にしました。
- Crucial P5 Plus SSD(読み込み最高速度: 6600MB/s、書き込み最高速度: 5000MB/s)
- Crucial P3 Plus SSD(読み込み最高速度: 5000MB/s、書き込み最高速度: 4200MB/s)
- Crucial P3 SSD(読み込み最高速度: 3500MB/s、書き込み最高速度: 3000MB/s)
- Crucial P2 SSD(読み込み最高速度: 2400MB/s、書き込み最高速度: 1150MB/s)
ゲーム用途だと 500GB だと足りなくなると思うので、最低でも 1TB がオススメです。
電源は 650W Gold
電源は 650W で Gold 認証の中から、値段がいい感じのを探したところ「Antec NE650 GOLD (650W)」にしました。
ケースは ATX 対応の Fractal Design Pop Silent Black TG Clear Tint
ケースは、今どきのやつを何個か姪に見せて選んでもらった結果、Fractal Design 製の「Pop Silent Black TG Clear Tint(FD-C-POS1A-02)」というやつにしました。
Pop Silent シリーズは、サイズ別で以下がラインナップされてます。それぞれのサイズごとにサイドパネルがガラス有りと無しタイプが用意されてます。また、Pop Silent に関してはホワイトモデルもラインナップされてます。
- Pop Mini Silent(mATX まで対応)
- Pop Silent(ATX まで対応)
- Pop XL Silent(E-ATX まで対応)
実際に組んでみた感想としては、ちょっとイマイチかな? 私はメインPC用として Fractal Design Define R6 を使ってますが、Pop Silent の方が質感とか作りがイマイチな感じです。というのは当たり前で、Pop Silent シリーズと Define 7 シリーズだと約1万円くらいの価格差があるのでしょうが無いかなと。質感重視の人は Define シリーズが良いと思いますが、コスト重視の人は Pop Slient シリーズだと思います。
あと、Pop Silent のイケていないところが、販売されている状態だとケース上面の端子のところに USB Type-C が搭載されていないところです。以下のオプションを追加で購入することで USB Type-C 端子を簡単に追加することが出来ますが、このくらい初めから付けておいて欲しい。。 この存在に気付かずにケースが届いてから「あれ?上面端子の USB Type-C ポートが潰れてる。。」という事実に気付いて調べたら別売ということが分かりました。
取り付けは簡単でネジ2本で付けるだけで、取り付けるとこんな感じになります。
今回はバックアップ構成をしっかりするために「3.5インチ HDD x 2本」「2.5インチ HDD x 1本」を搭載したんだけど、搭載位置的にケーブルとの干渉とかがギリギリで、使う SATA ケーブルや電源コネクタも気を使う必要があったので、HDD を多く搭載する予定の人は別のケースの方がいいと思います。
FF XV ベンチマークの実行
とりあえず、参考程度に FF XV ベンチマークを実行。高品質設定でスコアは 12550 と「非常に快適」と出ました。
バックアップ構成
今回のゲーミングPCはゲーム用途の他にも、動画や写真の保管にも使いたいということで、メンテナンス不要でしっかりとバックアップが取れる構成にしました。今回、システムドライブのバックアップ用(2.5インチ 1TB)とデータ用(3.5インチ 6TB x 2)として、TOSHIBA 製の HDD を購入しました。
今回購入した PC ケース(Pop Slient)は 3.5 インチを 2 台までしか搭載出来ないので、システムバックアップ用の 1TB は 2.5インチにしました。3.5 インチを 3 台以上搭載出来るケースを選んだ人は 3.5 インチの方がコスパが良いので 3.5 インチで OK です。
これまで色んな HDD を購入してきたけど、Western Digital はめっちゃ壊れやすい(10台程度買ってるけど、ほとんど壊れてる。。)ので購入することは無くなって、以前は HGST が一番壊れなくて安心して買ってたけど、HGST が Western Digital に買収されちゃったのは残念。。 シーゲートとかも悪くないけど、TOSHIBA 製の HDD もこれまで壊れたことが無いので今回は TOSHIBA 製にしました。
システムドライブのバックアップ構成
まず、システムドライブ(Cドライブ)のバックアップとしては、Windows 標準機能を使って「イメージバックアップ」を行います。イメージバックアップを行っておけば、SSD 1TB が壊れて新品を購入した際でも、丸っと元通りに戻すことが出来ます。
イメージバックアップを行うためには物理的に異なるディスクを用意する必要があり、今回は同じ容量となる 1TB HDD を用意しました。SSD で 1TB だとどんなに安くても8千円近くはするので約5千円となる HDD を選択しました。
Windows 標準機能のイメージバックアップだとGUI からの実行だと1回限りの実行となります。実際の取得時は「バックアップと復元 (Windows7)」メニューを表示して左側にある「システム イメージの作成」から取得出来ます。
毎回 GUI から手動実行するのは現実的ではないし、世代管理も出来ない(バックアップディスクの容量が無くなるまで世代管理される)ので、以下の方法を実現する方法にします。
- 毎週日曜日 18:00 に定期実行する
- 世代は5世代のみ残し、6世代目以降は保存しない(毎週実行なので約1ヶ月分は保持できる)
設定方法としては「タスクスケジューラ」から「タスクの作成」を選択。
「全般」タブで、以下の通り設定します。
- 名前: 任意(ここではサンプルとして System Backup)
- タスクの実行時に使うユーザーアカウント: SYSTEM
- 「最上位の特権で実行する」にチェックを入れる
「トリガー」タブを選択し「新しいトリガー」を選択すると以下の画面が出るので、以下の通り設定します。
- 設定: 毎週
- 開始: 実行したい時間に設定(ここではサンプルとして 18:00:00)
- 間隔: 実行したい曜日にチェックを入れる(ここではサンプルとして日曜日)
「操作」タブで「新規」をクリックすると以下の画面が表示されるので以下のとおり入力。以下のコマンドサンプルだとバックアップ用 HDD は Z ドライブの想定です。
- プログラム/スクリプト: C:\Windows\System32\wbadmin.exe
- 引数の追加 (オプション): wbadmin start backup -backupTarget:Z: -include:C: -allCritical -quiet
「操作」タブで「新規」をもう一度クリックし、2つ目のコマンドを以下のとおり入力します。以下のコマンドサンプルだとバックアップを5世代分のみ保持して、6世代目以降は削除してくれます。
- プログラム/スクリプト: C:\Windows\System32\wbadmin.exe
- 引数の追加 (オプション): delete backup -keepVersions:5 -quiet
以上で設定は完了です。あとは自動的に毎週日曜日の 18 時に自動実行され、古い世代でバックアップ用 HDD の容量が圧迫されることもなくなりメンテナンスフリーになります。
回復ドライブの作成(USBメモリ)
システムドライブの SSD に障害が発生して全てのデータが消えた場合には、HDD 1TB に取得しているイメージバックアップデータを使用してリストアを行う必要があります。その際はシステムドライブがなくなってて、リストア用の Windows すら起動することが出来なくなるため、USB メモリ内にリストアの際に使用するシステムを準備しておく必要があります。
USB メモリは 32GB が必要です。実際の作成手順としては、スタートメニューで「システム修復ディスクの作成」を検索してツールを起動してください。
障害が発生した際は、以下の手順で復旧出来ます。
- SSD を交換(物理的に壊れていた場合)
- USB メモリ(回復ドライブ入り)を PC に挿して、ブートメニューから USB からの起動を選択する
- 「トラブルシューティング」→「イメージでシステムを復元」→「Windows 11」を選択すると、HDD 1TB に取得しているイメージバックアップが見えるので戻したいタイミングを選択してリストアする
データドライブのバックアップ構成
データドライブについては、同一の HDD を 2 本購入し、ミラー構成にします。
ミラー構成にする方法としてはマザーボードの機能を使うことも出来るけど、マザーボードの機能を使うと Windows 上から HDD の SMART 情報が見れなくなって壊れているかが分からないので、Windows 標準機能となる「Windows記憶域プール」機能を使って「双方向ミラー」を構成します。この構成であれば、物理ディスクの SMART 情報が見れるので、CristalDiskInfo などを常駐させておけば HDD に対して警告やエラーが出ると直ぐにポップアップを出してくれて気付くことが出来ます。
実際の構成方法としては、「設定」→「システム」→「ストレージ」→「記憶域スペース」から「追加」を選択します。
名前は任意の文字列で OK です。私は「Data」にして、記憶域スペースに追加するディスクにチェックを入れます。
私がやった時は、上記の場所にディスクが表示されなく「記憶域の管理」からだとディスクは見えるけど「物理ディスクのセクターサイズが記憶域プールでサポートされていません。(0x80E70004)」とエラーが表示されて上手く行きませんでした。その場合には、管理者権限で起動した PowerShell から以下のコマンドを実行することで解消することが出来ました。
- PS> Get-PhysicalDisk
- PS> Reset-PhysicalDisk -FriendlyName “(対象のディスク名)”
以下の通り設定します。サイズにはプールの容量(10.9TB)の半分の値(5.45TB)を入力します。5.45TB を指定すると「双方向ミラー」の場合には同じデータを2箇所に書くので実際のプール使用量が2倍になります。サイズの設定としては、5.45TB よりも大きい 8TB とかも設定出来ますが、それを設定してしまうと実際にデータを 5.45TB 以上書き込もうとすると物理ディスクが足りなくなり、HDD を追加する必要に迫られます。
- 名前 : 任意の名前(ここでは Data)
- サイズと回復性: 5.45 TB
- 保護する方法 : 双方向ミラー
以下の通り設定します。
- ラベル : 任意(ここでは Data)
- ドライブ文字 : 任意(ここでは D)
- ファイルシステム: NTFS
以上で作成は完了です。「記憶域スペース」内で作成したボリュームの状態も確認出来ます。
エクスプローラーには普通のディスクとして見える様になります。ここでは「Data (D:)」にデータを保存すると、物理的に2つの HDD に書き込まれるので安心して利用出来るようになりました。
最後に
今回は結構な値段になったけど、同じ使い勝手を維持しつつ少しでも値段を抑えたい場合には、以下のポイントを考慮すると良いかもしれません。以下の点を全て実行すると2~3万円程度は安くなると思います。
- 電源を GOLD から BRONZE に変更
- CPU クーラーをリテールクーラーを使用する
- SSD を遅いタイプに変更する
- ケースを安いやつに変更する
久々に自作PCを作ったけど、やっぱり自作って楽しいな。自分のメインPC は約3年前に作ったものを使ってるけど、まだまだ元気なので買い替える予定はないから、次に更改するのは 2 年後くらいかな?