XF18-55mm のレビューです。
ただのキットレンズじゃないよ
このレンズをキットレンズと呼んだらダメだと思う。
他社のキットレンズってコスト最優先で最低限の品質で作られていることが多いから写りとかもパッとしないものが多いけど、富士フイルムのレンズで他社でキットレンズと呼んでるクラスは XCラインの XC15-45mm が相当すると思う。
APS-C センサーを搭載したカメラにセットで売られているレンズを比較してみました。
項目 | 富士フイルム XF18-55mm | 富士フイルム XC15-45mm | Canon EF-M15-45mm | Sony E PZ 16-50mm | Nikon Z DX 16-50mm |
レンズ構成 | 10群14枚 非球面 3枚 異常分散 1枚 | 9群10枚 非球面 3枚 ED 2枚 | 9群10枚 | 8群9枚 | 7群9枚 非球面 4枚 ED 1枚 |
最大口径比 | F2.8 – 4.0 | F3.5 – 5.6 | F3.5 – 6.3 | F3.5 – 5.6 | F3.5 – 6.3 |
最小絞り | F22 | F22 | F22 | F22 – 36 | F22 – 40 |
絞り形式 | 7枚(円形絞り) | 7枚(円形絞り) | 7枚 | 7枚(円形絞り) | 7枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 30 cm | 13 cm | 25 cm | 25 cm | 25 cm |
最大撮影倍率 | 0.15 倍 | 0.24 倍 | 0.25 倍 | 0.215 倍 | 0.2 倍 |
質量 | 310 g | 135 g | 130 g | 116 g | 135 g |
フィルター | 58 mm | 52 mm | 49 mm | 40.5 mm | 46 mm |
定価 | 81,000 円 | 41,500 円 | 35,000 円 | 40,000 円 | 41,100 円 |
まず、定価を見てみると分かるけど XC レンズを含めて各社の定価は4万円前後なんだけど、XF18-55mm だけ倍位の値付けになっている時点がクラスが違うことが分かる。(ただ、Nikon のレンズは写りも凄く評判がいいからちょっと毛色は違うけど。。)
あとは開放絞りが唯一 F2.8 から始まっていることからも、クラスが違うことが分かる。以前、どこかのインタビューで富士フイルムの人が言ってたのが、Xマウントの発売当時はキットレンズとして付けるレンズが無かったので、このレンズをキットレンズとして売っただけという回答があったので、コスト最優先のキットレンズとして作られてないことも分かる。
広角側の開放F値は F2.8 からでこのサイズ感
他社のキットレンズって広角側の開放F値は F3.5 から始まることが多いけど、このレンズはワンランク上の F2.8 から始まっているから、その分サイズも大きく重量も倍くらいあるけど、この写りと使い勝手でこのサイズ感に収まってるのは凄くいいと思う。
質感も十分過ぎるくらい。
標準域ズームの最高峰 XF16-55mm F2.8 と比べても写りは遜色ない?
XF16-55mm のレビューの際も書いたけど、画質に関しては大差無いです。逆光とか厳しい環境だと多少の差は出るんだけど、日常的な記録写真で使う分には違いは分からないと思う。
XF16-55mm F2.8 を買うのをオススメする人は、以下の観点かな。
- 防塵防滴性能が必要
- 逆光とか夜景とか強い光を入れた撮影が多い
- 広角側の 16mm がどうしても欲しい(広角側の 2 mm はそこそこ違う)
- 少しでも高速な AF 性能が欲しい(比較すると XF18-55mm の方がちょっと遅いです)
- 機材マニアで上位機種が気になる人(私がこれにあたる笑)
サイズ感もこんなに違うので、使うシチュエーションが違うので競合することもないと思う。
太さもこんなに違う。
XF18-55mm は十分な写りなので違う絵を撮りたいということであれば、F2 シリーズよりもボケを大きく出来る F1.4 シリーズの方がベターな気がする。F2 シリーズは軽量というところが利点だけど、XF18-55mm と併用で使うなら F1.4 がいいと思う。
唯一のライバルは自社の XF16-80mm だけ?
XF18-55mm って画質とサイズ/重量のバランスが絶妙で、富士フイルム内だと XF16-80mm くらいがライバルだと思います。XF16-55mm 自体はいいレンズなんだけど重たすぎるので、日常的に使えるレンズではないので用途によってはオススメしません。(撮影がメインで出かけるならアリ)
XF16-80mm F4 は防塵防滴だし、広角側も 16mm スタートだし重さも 440g で XF16-55mm に比べると軽いのでどっちを買うか悩む人も多いと思う。
最短撮影距離が弱点・・・
このレンズの唯一の弱点は最短撮影距離が今どきのレンズとしては長いということ。
スマホとかのカメラに慣れている人は、被写体に近づいて撮りがちだけど、このレンズの最短撮影距離は 30cm なので近すぎてピントが合わないことがあります。富士フイルムの XC15-45mm に関しては最短撮影距離は 15cm だし他社のレンズも 25cm なので、テーブルフォトだとこの 5cm の差って結構大きい。
広角側の 18mm だと一番近づいてもこのくらいのサイズでしか写せない。
一番望遠側となる 55mm だとこのくらいのサイズ感で写せます。
Web カメラ化で分かった動画への対応力
この前のエントリーで書いた、X-T3 を Webカメラ化する時に色んなレンズを試してみて選ばれたのはこのレンズでした。というのも画質は必要十分だし、AF-C で瞳AF を有効にしてても AF駆動音はしない/追従速度も十分で一番安定して使えました。
富士フイルムのレンズって初期の F1.4 シリーズとかはレンズ駆動の作りがイマイチで動画の AF-C では使い物にならない物が多いんだけど、この XF18-55mm はバランスが取れてると思う。
まとめ
実はこの XF18-55mm は XF16-55mm を購入した際に、もう使うことは無いなということで1度手放してたんですが、突き抜けた性能はないけど高次元でバランスしている写りとサイズ感が忘れられなくて再度購入してしまいました。
このレンズはキットレンズという響きが影響しているのか、キットレンズを購入して直ぐに手放す人が居るのか、中古市場に状態がいいものが流通しているので、標準ズームレンズに悩んでいる人はとりあえずこのレンズを買っとけばいいと思う。