富士フイルムで野鳥撮影する時の情報をまとめてみました。富士フイルムで野鳥撮影をする人は少ないと思うけど、これから始めようと思う人の参考になればと思います。
前提
前提としてですが、野鳥撮影は大きく分けて以下の2種類がありますが、私は止まりものしかしか撮らないので、今回の情報も止まりものを撮ることが前提となっている情報となります。
- 止まりもの(枝に止まっているところ)
- 飛びもの(飛んでいるところ(カワセミであれば飛び込みとか))
撮影機材
ボディー
止まりものの撮影でも、AF 性能は重要になるので、X-T3 世代がおススメです。以前、X-T2 を使ってましたが X-T3 に変えて撮影が快適になりました。
X-T30 も AF 性能は同じですが、ボディーが小さすぎて XF100-400mm とのバランスが悪いのと EVF の見やすさ、マニュアル露出設定のやりやすさを考えると X-T3 がおススメです。
X-T3 もボディーが小さいので、私は以下の L型ブラケットを使ってます。これで多少はマシになります。ただ、XF100-400mm とのバランスとしては、X-H1 がいいので新センサーを搭載した X-H2 を出して欲しいです。
レンズ
富士フイルムの超望遠は XF100-400mm の一択なので悩む必要はないです。
一番稼働率の高い XF100-400mm をレビューします。購入は 2017年7月です。XF100-400mm についてスペックシートまずは、スペックシートで簡単におさらい。項目値型番XF10[…]
X-T3 を購入してから、XF100-400mm を使う時は X-T3 でばかり使ってて X-H1 では使うことはなかったけど、今回は、なんか気分的に X-H1 を持ち出して野鳥撮影をしてみました。カワセミを撮るポイントには河津桜も[…]
野鳥撮影は望遠であればあるほどいいので、テレコンも。私は 1.4倍テレコンを使ってます。
テレコンのレビューも書いてるので、良ければどうぞ。
三脚・一脚
止まりもの撮影であれば、三脚は不要です。
X-T3 + XF100-400mm + XF1.4X TC の組み合わせだと、総重量は 2,044g(539g+1,375g+130g)なので軽さの機動力を生かして野鳥を探す方に集中できるのが良いです。三脚を使ってしまうと行動範囲が狭くなるし、野鳥を見つけてから撮影出来るまでのセッティングに時間が掛かるので撮影チャンスを逃すことが多くなると思います。
ただ、この後にも書きますが、動画の撮影を行う場合には三脚か一脚がある方がいいです。私は、動画撮影を多くしたい日はベルボンのカーボン一脚「Geo Pod V65」を使ってます。カーボンなので軽量だし剛性も高いのでおススメです。(面倒で持って行かない時もあるけど、1分以内の動画あれば手持ちでもなんとかなります。)
飛びものの撮影だと、三脚 + ジンバル雲台 + 照準器 とかのセットが必要になったり、1か所で粘ったりと、私的には楽しくないので使うことはないです。
カメラ設定
画質設定
保存形式は好みでいいと思いますが、私は RAW 形式で撮ってます。
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
画質モード | RAW | 自分好みの仕上がりに現像するため。 |
RAW記録方式 | 非圧縮 | なんとなく。 |
フォーカス設定
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
AF モード | シングルポイント | 野鳥は枝とかと被ることもあったりするのでピントを合わせたいところを明確にするためにシングルポイントにしてます |
フォーカスモード | AF-S | 止まりものの時は追尾する必要はないので、AF-S です |
AF+MF | ON | 富士の特性でどうやってもピントが合わない時があるので、その時にマニュアルで合わせられるように |
ドライブ設定
止まりものであれば連写性能はあまり要りません。
私の場合は、低速連写(5fps)にして撮ってます。X-T3 だとメカシャッターで 11fps まで撮れるけど、11fps で撮ると、帰った後の写真セレクトに時間が掛かるので使いません。
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
ドライブダイヤル | CL | 5 fps にしておけば、シャッターを押す時のさじ加減で、1枚だけにもできます。11fps の設定にしてると、どれだけ短く切っても3枚は撮れちゃうので1カットだけでいいシーンでも3枚撮れちゃって後で削除が面倒なので。 |
ドライブ設定 | 5 fps |
親指AF
止まり木の時は、一度 AF を合わせたら合わせ直す必要は少ないので、シャッターと AF が連動していると面倒なので、シャッターの半押しAF を無効化して、背面の AE-L ボタンに AF-ON を割り当てます。
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
ファンクション設定 (AF-L) | AF-ON | X-H1 の AF-ON ボタンと配置が似ている AF-L に AF-ON を割り当ててます。 |
半押しAF (AF-S/AF-C) | OFF | シャッターを切るたびに AF を合わせ直す動作になると確実にシャッターチャンスを逃すので、レリーズとピント合わせを分離するために半押しAF は OFF にします。 |
露出設定
露出設定はマニュアルがおススメです。
ただ、野鳥撮影は撮影スピードが命なので上面ダイヤルを使うと時間が掛かるので、以下のエントリーに書いている前面ダイヤルに ISO 感度、背面ダイヤルに シャッタースピードを割り当てる設定がおススメです。
わざわざ書くことでもないとは思いますが、富士フイルムのミラーレスカメラは、上面にアナログのダイヤルが配置されてて、そこが売りの一つになってるけど、一部のカメラ(X-T3,X-T2 おそらく X-H1 も)はコマンドダイヤルに ISO感度/シ[…]
写真撮影
撮影時に意識すること
何も意識せずに撮影を行うと、ただの記録写真になってしまって魅力的な写真に出来ません。
私は花の撮影も行うので、野鳥撮影の時も花を撮るときと同じように、メインの被写体(鳥)の配置と背景処理を撮影時から意識して撮ってます。なので、構図的にイマイチだなと思った時はシャッターを切りません。(←シャッターを切っても家に帰ってから削除する手間が増えるだけなので)
シャッタースピード / F 値 / ISO 感度
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
シャッタースピード | 1/250 以上 | 止まっている状態であれば、1/250 以上であれば問題ないです。ただし、羽ばたいている羽とかは 1/250 だとブレてしまうので、そういうシーンを撮りたい場合には 1/1000 以上で切るようにしています。 |
F 値 | F9 | XF100-400mm に XF1.4X TC を付けた場合のテレ端での開放F値は F8 だけど、開放だと心なしか甘い気がするので、1/3段絞って使ってます。 |
ISO 感度 | ISO12800 以下 | ISO感度的には ISO3200 までは躊躇なく使えてそれ以降はノイズは気になるけどブレるよりはマシなので、ISO12800 までは使ってます。 |
撮影の時はマニュアル露出で撮ってますが、シャッタースピードを 1/250、F値を F9 に固定して、明るさの調整は前面ダイヤルに割り当てている ISO感度で EVF を見ながら変更しています。この使い方であれば、マニュアル露出といってもオートで撮るのとほぼ変わらない撮影スピードで行けます。
写真作例
止まりものではなく、飛び出しの瞬間を撮りたいなら、以下のエントリーに書いた X-T3 の「プリ撮影ES」を使えば OK です。
野鳥撮影用に Fringer の電子マウントアダプター + Canon EF400mm F5.6L USM を導入しました。
動画撮影
X-T3 は動画撮影能力も優秀なので、動画撮影も楽しいです。特にカワセミは、動かない時は数分は同じ場所に居ることが多いので動画撮影も行いやすいです。
あと静止画だと背景処理的にイマイチだなと思う構図でも、動画だと被写体の動きの可愛さで使い物になるので、そういう意味でも写真と動画に強い、X-T3 は野鳥撮影にはベストが気がします。
カメラ設定
設定項目 | 設定値 | 設定意図 |
フォーカスモード | AF-S | カワセミは枝に止まっている間は動くことがないので AF-S で撮影開始時に合わせれば問題ないです。 |
動画モード | 4K 29.97p | とりあえず一番高い解像度で。 |
H.265(HEVC)/H.264 | H.265(HEVC) | 富士フイルムの技術者のインタービューか何かで、X-T3 の動画はセンサーの影響だったか、H.265 に最適化されているとか言われていたので。。 詳しくは忘れました(笑) |
動画圧縮方式 | ALL-I | Long GOP か ALL-I で選べますが、画質重視で。 |
フィルム シミュレーション | ETERNA | ここの設定が一番重要!X-T3 は log 撮影も出来るけど、下手に log で撮影してカラグレするよりも、ETERNA の方が圧倒的にいい感じに撮れる! |
ホワイトバランス | AUTO | AUTO で困ったことはないので、とりあえず AUTO で。 |
ダイナミックレンジ | DR100 | なんとなく。。 |
動画 AF モード | エリア選択 | 決めた被写体にピントを意図的に合わせたいため。 |
4K 映像出力先 | SD 4K HDMI 4K | SD に保存 |
動画作例
この色が撮って出しで撮れるのが富士フイルムの魅力。
※手持ちでの撮影で手振れが大きかったので、DaVinci Resolve のスタビライザー機能で手振れを軽減させています。そのため、本来の 4K より解像感が落ちてるかもしれません。
※雑音(話し声、風切り音など)がいろいろ入ってて聞きづらかったので、音声は消して音楽に入れて変えています。